Lv.11 クエスト仲間を見つける/士業や外注先の発見・協力【人事・バックオフィス】|小規模経営学

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【6つの重要分野】から役割を補う仲間を見つけよう!
スモールビジネスは、小さいながらも多機能です。小規模ゆえに、経営者や従業員の一人ひとりが「多岐にわたる」業務を担わなければならないからです。
「すべてを自分ひとりでこなす」には、どうしても限界がきてしまいます。しかも税務や労務といった、専門的な知識やスキルが要求される業務もあります。
そのとき助けになるのが、「クエスト仲間」――士業や外注先という専門家たちです。
彼らはまさに、あなたの事業にとっての〝旅のサポートメンバー〟のような存在。小規模経営では、以下の「6つの重要分野」、そのスキル領域すべてにおいて高水準の業務クオリティが求められるため、弱点分野の補強が必須です。
- 経営・企画:ビジネスの方針や価値を設定し、効果的な戦略を立てるスキル
- 人事・バックオフィス:人のこと、人とのこと 良好なチーム運営と、人材サポートの方法
- お金・財務会計お金のこと 会計スキル、資金管理やキャッシュフローの運営、財務計画の立て方
- デジタル・AI:最新のデジタル技術やAIを活用した業務効率化の方法
- 営業・販売:効果的なマーケティング戦略や広報活動、顧客関係の構築
- スキルアップ:既存技術を磨きつつ、新しいスキルを習得し、自己成長を促す方法
これらのカテゴリーすべてを、あなた一人で完璧にこなすのは容易ではありません。むしろ、「足りない役割は仲間に頼る」という発想こそ、小規模経営学の知恵です。
✓ たとえば…
- 財務の管理に不安があるなら、税理士や会計士に
- 契約書や法務面が気になるなら、弁護士に
- 補助金申請や許認可手続きなら、社労士や行政書士に
- 業務が煩雑になってきたなら、外注パートナーやアシスタントに
これらの仲間たちに、「自分の時間と集中力を確保する」役割を担ってもらうのです。

ソウム…この前、契約書のことでひと晩中調べてたんだけど、頭がパンクしそうだったわ…

Qちゃん。それはもう〝士業に頼るサインよ〟専門外のことに時間を取られすぎると、本業の価値が下がってしまうわ
さらにスモールビジネスでは、「時間と精神のゆとり」=「経営資源」になります。
士業や外注先をうまく活用することで、あなた自身が本当に注力すべき業務に専念でき、結果的に収益性も上がっていきます。
つまり、「結果として手が回らないのなら、全部自分で抱えるのは、賢い経営判断とは言えません」。それぞれの分野の専門性を持った人に任せることは、コストではなく〝未来への投資〟です。
ただし、ここで【注意すべき点】もあります。
✓ やみくもに頼んではいけない:費用対効果や依頼する業務内容を正確に吟味する
✓ 予算制限も意識し最適な依頼をする:小規模事業の全体バランスを見ながら、優先度をつける
✓ 丸投げは絶対にしない:依頼者としての責任と連携意識を持ち、他責思考はNG
✓ 完全な人任せも避ける:経営者自身でも理解し、正常な判断ができる状態を常に保つ
士業・外注先との関係性は、「外注先」ではなく「共闘者」――そう、「クエスト仲間」です。

でも、士業の人って、なんだかちょっと敷居が高いイメージがあって…

大丈夫。最初は〝スポット相談〟からでもいいの。頼れるパートナーとは、少しずつ関係を築いていけばいいのよ
士業や外注先との付き合い方について、大切なのは、「誰に、何を、どこまで頼むか?」を見極めること。あなたの事業クエストを加速させてくれる仲間は、きっとすぐそばにいます。
「士業・外注先の活用ルール」――スモールビジネスは、適切な協力者と共に歩む 3つのポイント
1)外部パートナーを戦略的〝助っ人補強〟と捉える
スモールビジネスにとって、士業や外注パートナーの活用は、「困ったときだけ助けてもらう」存在ではありません。むしろ、チームのために「必要な場面に、適切なタイミングで補強する」――野球やサッカーでいえば〝助っ人外国人〟のような存在なのです。
ここで大切なのは、「足りないからとにかく埋める」のではなく、戦略的に補強するという考え方。
たとえば、「今期は資金繰りの整理が最優先」なら税理士、「補助金に挑戦したい」なら行政書士や社労士、「業務設計を固めたい」なら中小企業診断士など――自分の経営ステージに合った人材を〝一時的に加える〟ことが、スモールビジネスの賢いパートナー戦略です。

ソウム…なんかもう全部お願いしたいくらい、手が回らないよ〜

その気持ち、わかる。でも全部は危険よ。いまいちばん必要なピースを見極めて、そこを〝助っ人補強〟するのがスモビジ流よ
こうした「スポット起用」や「プロジェクト単位」での協力は、予算が限られるスモールビジネスにもフィットします。「いまの経営課題に合わせて、柔軟に仲間を増減させる」、それが、小さな事業を機動力高く運営するためのコツです。
2)信頼できる人より「信頼を育てられる関係」を選ぶ
よく「信頼できる士業や外注先を紹介してほしい」と言われますが、実は「最初から信頼できる人」なんて、ほとんど存在しません。はじめて会った人が信頼できるかどうかなんて、誰にもわからないのです。
重要なのは、信頼を〝つくっていけるかどうか〟の関係性。
✓ 質問をしたとき、誠実に答えてくれるか?
✓ わからないことを、噛み砕いて説明してくれるか?
✓ 小規模事業者の立場に寄り添う感覚があるか?
こうした〝信頼の素地〟があるかを確認しながら、少しずつ依頼の範囲を広げていくことが肝心です。最初は「軽めの相談」や「スポット業務」から入り、お互いの価値観やスタンスを見極めていきましょう。
また、「なんとなく話しやすい人」ではなく、「こちらの未来に真剣に向き合ってくれる人」を選ぶ視点も大切です。人間関係の本質は、「話が合うかどうか」ではなく、「目的を共有できるかどうか」にあります。
3)契約前に「ゴール・範囲・責任」の3点を明確にする
どれだけ信頼できる関係でも、「依頼業務の内容」や「成果の範囲」が曖昧なままでは、トラブルのもとになってしまいます。
だからこそ、契約や依頼の前には、必ず次の3点を言語化しておきましょう。
- ゴール:何を達成してほしいのか?(例:補助金の採択、労務体制の整備、税務申告の完了など)
- 範囲:どこまでを担当してもらうのか?(例:書類作成だけ? 定期ミーティングの参加も必要?)
- 責任:トラブルや遅延が起きたとき、どこまで相手に責任があるのか?契約書や覚書で明記する
この3点が曖昧なままだと、「ここまでやってくれると思ってた…」「いや、それは聞いてない」といった行き違いが起きがちです。

前にお願いした人、すごく親切だったんだけど…なんか〝そこまでは契約に入ってない〟って後から言われちゃって…

Qちゃん。それまさに〝範囲とゴールの共有不足〟よ。はじめに丁寧に線引きしておくことが、お互いの安心にもつながるの
こういったビジネスとして当然のことをクリアしつつ、柔軟な対応や変化を心がける。この姿勢がとても重要です。
また、スモールビジネスでは、「お金を払う側」も責任を持って、コミュニケーションを主導することが大切です。共闘者は「お任せする存在」ではなく、「一緒に進んでいくパートナー」なのですから。
3つのステップ
スモールビジネスの成功には、「なんでも自分で抱え込まない」ことが重要です。専門知識が必要な分野は、協働できる士業や外注パートナーと連携することで、事業の精度とスピードが大きく向上します。ここでは、適切な協力者と共に歩むための3つのステップを紹介します。
① 業務の範囲と役割を整理する
「誰に、何を、どこまでお願いするか」を見極めるには、まず、自分の仕事の中身を〝細かく棚卸し〟することが欠かせません。なぜなら、依頼する相手に対して「お願いしたいこと」が曖昧なままだと、成果物の質や範囲にズレが生じてしまい、トラブルの原因にもなりやすいからです。
このステップで意識すべきは、単なる外注の視点ではなく、自分の〝時間〟〝集中力〟〝判断力〟を、何に投資すべきかを見極めること。
✓「この業務は自分じゃなくてもできる」
✓「この作業は専門家に頼んだほうが正確で早い」
✓「これは経営判断に直結するので自分でやるべき」
こういった区分けをしながら、まずは自社業務の全体像を洗い出し、そのなかで「信頼して任せられる部分」だけを取り出す。この視点がなければ、外部パートナーにお願いする内容がブレてしまいます。
そのうえで、ジョブカードのように業務内容・依頼範囲・責任の所在を整理しておくと、相手とのやりとりもスムーズです。
② 公共の支援機関から専門家の情報を集める
信頼できる士業や外注先を探すとき、「ネット検索でヒットした人」だけをあてにするのは、少々リスクがあります。
スモールビジネスでは、通常業務の中に、地域に根ざした公共支援機関を活用が含まれています。その公共支援機関を利用し、専門家を紹介してもらうのが、安全で効果的なスタートになります。
商工会議所・商工会、中小企業支援センター、よろず支援拠点、中小企業診断士協会・士業団体、地元の金融機関の取引先紹介など。
こういった公的機関や業界団体では、「この分野に強い人」や「小規模事業に慣れている先生」を紹介してくれることも多く、最初の接点として非常に有用です。

ネットで見た税理士さんに問い合わせたんだけど、なんかちょっと事務的で怖くて…

それならまずは〝よろず支援拠点〟とかに行ってみるのがおすすめよ。何より相談無料だしね
相談窓口の人が、あなたの事業の規模や業種に応じたマッチングをしてくれるケースもあります。「どこに頼めばいいかわからない」と悩んでいるなら、まずは信頼できる中立機関を頼ることからはじめましょう。
③ まずは〝スポット相談〟から始めて、「信頼の種」を育てる
いきなり顧問契約を結んだり、継続的な業務をお願いするのは、やはり不安があるものです。そこで、はじめの一歩としておすすめなのが、「スポット相談」や「単発業務の依頼」です。
たとえば、補助金の申請や労務の初期整備のみを依頼する。契約書の確認だけをしてもらう。こうした「限定された依頼」を通じて、お互いの仕事ぶりや相性を見てみるのです。
「話のテンポは合うか? 専門用語を、きちんと噛み砕いて説明してくれるか? 小規模事業に寄り添う視点を持ち、責任ある対応をしてくれるか?」
これらの視点から、「一緒に歩めそうかどうか」を肌で感じていくことが、信頼づくりの第一歩です。
そして何より大切なのは、たとえスポットであっても、粗野に扱わないこと。「単発だから適当でいい」ではなく、「単発だからこそ誠実に向き合う」。そんな姿勢が、次の依頼、そして関係性の継続へとつながっていきます。
外部パートナーを、〝使い捨てのコマ〟のように見てしまっては、信頼は育ちません。
一つひとつのご縁を丁寧に紡ぎ、共闘者としての敬意と対等な姿勢を持つことが、スモールビジネスの美徳でもあります。
「これは事業主に限った話ではなく、依頼を受ける専門家にとっても胸に落とすべき大切なことです」
スポット相談を重ねていくことで、やがてあなたの事業にとって欠かせないパートナーへと、関係が深まっていきます。その小さな依頼がやがて芽を出し、あなたのビジネスに欠かせない〝信頼の木〟へと育っていくのです。

この前はじめてお願いした社労士さん、すごくわかりやすく説明してくれて! ちょっと安心したわ

よかったじゃない! 小さな依頼から始めた、その〝安心〟が信頼の種になるのよ
「クエスト仲間」の選び方と付き合い方——士業・外注先と長く協力する秘訣
士業や外注先との付き合いは、「一回きり」のものではなく、事業の未来を支える「長期的なパートナーシップ」へと発展させていくべき関係です。
一時的なタスク処理を超えて、事業の〝進化と安定〟に貢献してくれる存在。それが、スモールビジネスにおける「クエスト仲間」の本質です。ここでは、そんな仲間たちと良好な関係を築き、長く共に歩むための秘訣を整理しておきましょう。
相手の〝専門分野〟だけでなく、〝価値観〟にも注目する
士業や外注パートナーは、それぞれ専門分野を持っています。税理士、社労士、行政書士、Webデザイナー、業務代行など、多様なスキルセットを持つプロフェッショナルたちです。
しかし、それ以上に重要なのは、「この人はどんな価値観で仕事をしているか?」という部分。
- 丁寧に対応してくれるか?
- 小規模事業の苦労や現場感覚に共感があるか?
- お金や時間の感覚が近いか?
というように、仕事の「スタンス」に目を向けましょう。
価値観のズレは、最初は小さくても、長期的には関係を壊してしまう原因になります。だからこそ、「この人と一緒に走れるかどうか?」を軸に、クエスト仲間を選ぶのです。
情報共有と「進捗の見える化」で、共闘のリズムをつくる
協力関係がうまくいくかどうかは、業務のクオリティだけでなく、「日常的なコミュニケーション」の精度にかかっています。
メールやチャットのレスポンス、情報の共有スピード、次回打ち合わせの日程調整、進捗管理や確認方法など、こうした細やかな連携が、「信頼のリズム」をつくります。
専門知識や能力だけでなく、ビジネスの基本精度が備わっているか? そのクオリティを共有できるか?
可能であれば、タスク管理ツールや共有ドキュメントを活用して、「何を、誰が、いつまでにやるのか?」をお互いに見える状態にしておくのが理想的です。
関係が長く続くほど、小さなズレがトラブルを生むリスクも高まります。だからこそ、情報共有を面倒なやりとりと捉えず、「信頼関係のインフラ整備」として丁寧に取り組みましょう。
「報酬」以上に、「敬意」を忘れない
士業・外注パートナーとの関係において、避けて通れないのが「報酬」の問題です。
たしかに、スモールビジネスにとってコスト意識は大切です。予算に限りがある以上、費用対効果を見極める視点は欠かせません。
しかし、それ以上に大切なのが、「相手のプロフェッショナリズムへの敬意」です。
たとえスポット案件や短時間の依頼であっても、感謝とリスペクトの気持ちを忘れない。それだけで、関係性の質は大きく変わります。
- 頼みっぱなしにしない
- 修正依頼にも誠意を込める
- 成果が出たときは、感謝の言葉を必ず伝える
こうした積み重ねが、「またこの人と仕事をしたい」と思ってもらえる空気をつくり、結果的に長く良好な関係を育てていきます。
「クエスト」は、一人では完結しない
あなたが描くビジョンがどんなに素晴らしくても、それを「実行」し、「持続」し、「進化」させるには、仲間の力が必要です。
とくにスモールビジネスでは、経営リソースが限られているからこそ、信頼できる外部パートナーの存在が、生産性と安心感を飛躍的に高めてくれます。士業・外注先は、ただの下請けでも、外注先でもありません。
「彼らは、あなたの旅を加速させてくれる共闘者」――。
小さな頼みごとから始まり、やがて大きな挑戦へと一緒に進んでいく。そんな未来を見据えながら、一つひとつの関係を丁寧に育てていきましょう。
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寺本 智(てらもと さとし)
小規模経営学者 | スモビジ大学長 | 小さいからこそ「個性と安定が両立」する『小規模経営学』を体系化 | スモールビジネス分野で、教育・コンサルティング・小説を執筆 | スモールビジネスコンサルタントとして、10年以上にわたり、従業員0人から20人まで(商業・サービス業は基本5人以下)の小規模企業を200社以上サポート。
活動理念は、『小さな事業を大きな主役へ』。一人ひとりが持つ個性と、経済的な安定。この2つが両立する――そんな〝小さな経営の在り方〟と、スモールビジネスを200社以上サポートした実体験から得た、「小さくても大きな成果を導くことができる」独自の文法を、小規模事業の【6つのフェーズ】と【6つのカテゴリー】に合わせて体系化。
ビジョンは、小さな事業が大きな主役となり、『個性と安定が、両立する社会』――「一億総スモールビジネス」。


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